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吉田輝星投手のストレートはなぜ打たれないのか?「ホップするストレート」と「真っスラ」の2種類を投げられる独特の球質の秘密

 

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こんにちはカズヤです。

 

 

先日金足農業から日本ハムへドラフト1位で入団した、吉田輝星投手がプロ初登板し5回4安打1失でプロデビュー戦で初勝利を飾りました。

そして驚くべきことに強力打線の広島相手に84球を投げ80%にあたる63球がストレートだったということでした。

 

対戦相手だった広島の鈴木誠也選手は「きれいにきたり、真っスラ気味にきたり。イメージしずらかった。指にかかった時は見たことのない真っすぐだった。」と吉田投手のストレートについて話しています。

 

鈴木選手によると、吉田投手のストレートは「横回転のかかったストレート」と「スピンの効いたホップするストレート」の2種類のストレートを投げているということでした。

 

 

今回は吉田投手の2種類の直球について書いていきたいと思います。

 

 

ホップするストレート

 

 

野球データー教育サイト「ベースボールギーク」さんによると、(https://www.baseballgeeks.jp/?p=5550

 吉田投手のストレートのボール変化量を測定すると縦変化は53センチを示します。

プロ平均は44センチのため、吉田輝星投手はその9センチを上回るのです。

硬式球の直径が約7センチと言われているため、ボール1個以上プロ平均のストレートより「真上にホップする」ような印象を与えます。

 

 

またほとんどの投手の直球は普通シュート回転がかかるのですが、吉田投手のストレートはシュート成分が非常に少ないのです。プロ平均の横変化は26センチであるのに対し、吉田投手の横変化は10センチと違いは明らかです。これにより普段「見慣れているプロの球」よりも、より真上にボールがグッと伸び上ってくるような軌道になるということです。

 

ボールの回転数は2125rpmとそこまで多い回転数ではありませんが、より手首を立てて投げることにより、回転軸の角度が吉田投手は68度と平均の投手より大きくつきます。この角度が大きくなると純粋なバックスピンに近づいて球を浮き上げる揚力が発生しやすくなり、球がホップするということです。「ホップするストレート=回転数が多い」という発想になりがちですが実はそうではなく、「回転数と回転軸の方向によって」ボールの変化量は決まるということです。

 

 

 

「真っスラ気味」のストレート

 

吉田投手は「ホップするストレート」と「真っスラ」を投げ分けているのではないか?

と巷では言われていましたが、

 

これに関して吉田投手の「真っスラ」は「ナチュラルに曲がるストレート」だと思われます。

 

吉田投手の自主トレの記事で投げ込みを行ったとき「理想のホップするストレートではなく、真っスラがいってしまったので30点」と本人が述べている記事を読んだ記憶があります。(記事載せたかったのですが見当たりませんでした。。。)

ここから察するに「自ら投げ分けている感覚」はないのかなと思います。

 

 

また吉田投手のストレートは先ほど「ホップするストレート」の章で述べたとおり、横の変化が10センチとシュート成分が非常に少ないストレートだと書きました。

吉田投手はかなり真上の方からリリースするのが特徴です。真上から投げることによって傾きが少なく、最後のリリースの瞬間自然に「中指の力」が伝わるためナチュラルカットのストレートが「投げられてしまう」のだとも考察できます。

この吉田投手独特の球質により「カットボール系の球を投げやすくなる球質にある」ということも考えやすいと思います。

 

 

 

球界でも真っスラを投げる投手は、ソフトバンクの武田投手や巨人のメルセデス投手がいますが、吉田投手の場合は伸び上る直球にシュートしにくい特性の中でスライド回転がかかります。いわゆる「ホップする真っスラ」を時折投げるということですから、球質、変化共に相当希少性の高いボールでしょう。

広島の鈴木誠也選手が「見たことのない真っ直ぐだった」と言うのも、改めて納得できますね。

 

 

 

まとめ

 

  • 吉田投手のストレートはバックスピンがかかりシュート成分が非常に少ない独特の球質
  • その独特の球質により「ホップする真っすぐ」と「真っスラ気味の真っすぐ」2種類の直球が投げられる
  • 投げ分けらるわけではない

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。